松本の東、あがたの森一帯は製糸の片倉の土地であった。
その一部にあったがそれでも大きなショッピングモールが時代の流れか8ヘクタールという広大な土地全部使って建て替えることになった。
片倉製糸が松本を拠点として明治・大正・昭和と造られてきたおびただしい建物はほぼすべて取り壊されて
木造の研究棟と鉄筋コンクリートの事務所だけが残った。
新しく建て替えるにしてもここだけは保存しようというものだ。
それにしても瞬く間にきれいに片付いて視界が開け青い空にくっきりと四方の山並みが見えるようになった。
さわやかな秋を迎えスカイラインが美しい。
その中にポツンと佇んでいる「カフラス」は裸の王様状態であるが存在感がある。
3層構造でバランスの良いルネッサンス様式を基本にしたアメリカンボザール風であろうか。
昭和初期に造られた近代建築であるが、当時の人々の想いが伝わってくる。
しみじみとした感情が沸いてくる。
と同時に今のわれわれはどこに向かってどこにたどり着くのだろうか。
建築のありようはどうあるべきか?。
経済至上主義を前提に一本調子で走り続けるのだろうか。
文明の進歩とは別に、継続と循環が人類の歴史であるように思えるのだが・・。
川上