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土蔵の傷み
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 曳家のため宙に浮いた土蔵

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 足下はべた基礎で補強、傷みのひどかった柱・土台は新しいものと取替えた


民家の再生で敷地を見せてもらうと必ずというほど広いお屋敷でしかも土蔵がある。
土蔵の大切さと機能性のよさは用と美に徹して実にすばらしい。
決して見栄や華美で造っていない。

しかし100年もするとさすがに傷みは避けられない。
長い風雪に耐え大切なものを長く保存するが、それでも手入れは必要だ。

昨今200年という長期優良住宅住宅が叫ばれているがおよそ考えられない。
50年位ならいいが。そもそも釘や金物が錆びて持たない、サイディングも石膏ボードも。

また確かにプレハブの物置は安価で土蔵の10の一の費用でできるし25年は持つが、
暑さ寒さはそのまま伝わってしまい物の保存には適さない。

今回いくつかの土蔵の直しを相談された。
壁のサイディングを剥がしてみると、ヒビが入ったり漆喰が剥げたりでさすがに傷みが激しい。
全体に傾いている。
よくここまで頑張ってきてくれたものだと感心するやらねぎらいたい気持ちでお施主さんと相談する。

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 サイディングを剥がす前

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 サイディングを剥がした後


今回100年ぶりに傾きを直したり漆喰を塗りなおしたりすれば、
造るほどの5分の一の費用でまた100年は必ず持つ。

作り変えるのとどちらが安いかの比較はナンセンスである。
とにかく直した後の姿が楽しみだ。

そろそろ日本もストックの時代に戻らなければ未来は無いと思うのだが・・

川上
by kawakamisekkei | 2014-06-05 18:05 | 現場から
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